株式会社エーティーワークス
代表取締役社長 高瀬 由照 様
営業本部 本部長 茨木 康之 様
執行役員 最高売上責任者 杉田 寛 様
インタビュアー:JCSSAコミュニティ委員会委員
株式会社BCN 週刊BCN/週刊BCN+編集長 齋藤 秀平
トレンドマイクロ株式会社 営業推進部長 佐藤 弥生
(訪問日:2023年1月19日)
JCSSAコミュニティ委員会がリレー形式で新規会員企業を紹介する「会員インタビュー」。第三回目は、サービスとハードウェア、セキュリティの三つの事業を手掛ける株式会社エーティーワークスの高瀬社長と茨木営業本部本部長にお話を伺いました。
エーティーワークス様は、1994年4月に富山市で設立し、現在は富山市と東京都の二本社体制でビジネスを展開しています。これまでは富山県外の企業を主な顧客としていましたが、最近は地元企業のDX支援にも取り組んでいます。 JCSSAには、ハードウェアの販売促進やアライアンスの強化を目的に、2021年11月に加入しました。
高瀬社長は「会員同士のつながりや情報が得られることはメリットとして非常に大きいと感じています。コロナ禍で、ほかの会員と会う機会が少ない状況でしたが、今後はリアルイベントなどを通じて交流を深め、ビジネスの拡大につなげたい」と期待しています。
■JCSSA:本日はお時間をいただき、ありがとうございます。まずは貴社の事業の状況を教えてください。
■高瀬氏(写真左):当社は「at+link」というレンタルサーバーの事業で成長してきました。しかし、仮想化やクラウドサービスといった技術が登場し、星の数ほどいた事業者がどんどん淘汰されてきました。当社のレンタルサーバーの事業は、ベンダーのサーバーではなく、自社のオリジナルサーバーを使っていた経緯がありましたので、そのノウハウを生かしてサーバーの販売にかじを切り、売り上げと利益を伸ばしてきました。ただ、2022年は半導体不足や円安でハードウェアの仕入れコストが上がり、高値で仕入れないといけない状況になりました。何とか欠品はなく、お客様にご迷惑をおかけすることはなかったのですが、相当、苦労した1年になりました。
■JCSSA:レンタルサーバーの事業者が淘汰されてきたとのお話がありましたが、生き残ってこられた理由についてはどのようにお考えですか。
■高瀬氏:理由の一つとして昔から事業を手掛けてきたことがあります。当社のサービスは、業界内では老舗の部類に入るので、それがお客様にとって決め手になることは多いです。ほかの会社では、さまざまなサービスを提供していますが、当社は専用サーバーだけに範囲を絞った売り方をしてきたので、それが強みになっています。レンタルサーバー事業では、1ラックあたりのサーバーの集積密度をどこまで上げられるかがポイントになります。当社のオリジナルサーバーは、それを実現するために省スペース、低電力になっており、この点はお客様から評価されています。
■JCSSA:ビジネスにおいて、富山とのつながりはありますか。
■高瀬氏:当社は富山市で設立し、現在は富山市と東京都に本社を置いています。レンタルサーバーの事業を通じてネットワーク越しに全国各地のお客様のサポートをしてきましたが、一方で地元のお客様が全くいない状況となっていました。せっかく富山に会社があるので、何か地域貢献はできないかと考え、これまでに蓄積してきた知見を生かして地元企業のDXのお手伝いをする事業を3年ほど前に開始しました。
現在は富山本社にも営業を配置し、富山県を中心に地方での営業活動を進めています。具体的には、お客様の要望に応じてSIを提供したり、情報システム部門の代行をしたりしています。当社が得意とするハードウェアの販売は、半導体不足や円安といった外的な要因に左右されるので、そういったことに影響されないビジネスモデルを強化することが狙いです。
■JCSSA:DXについては、都市部と地方の差が指摘されています。事業の手応えはいかがでしょうか。
■高瀬氏:地方のDXは遅れていると実感しています。富山は圧倒的に中小企業が多く、ITの仕組みや新しい技術について知らないことがたくさんあります。PCが得意な人に社内のネットワークの管理を任せて、その人が退職したら何も分からなくなってしまうケースもあります。困っていることは本当に幅広くあるので、特定の商材を持って行くというよりも、お客様のお困りごとを探しに行くスタイルで提案を進めています。なので、お客様のところには基本的に手ぶらでいきますね。
当社はこれまで、大手ベンダーが入り込まないニッチなところを攻めながら成長してきました。富山でのビジネスは、それに似た部分があります。東京での営業活動で得た経験を落とし込んでいけば、事業としてはうまくいくだろうと思っています。
■JCSSA:JCSSAに加入した経緯をお聞かせください。
■高瀬氏:JCSSAのことを会員企業であるアップデータ様に教えてもらったことがきっかけです。
それまでJCSSAのことは知らなかったのですが、当社の事業と合うと考え、加入しました。当社は、関東ではエンドユーザーにハードウェアを直接販売することはほぼやっておらず、販売店に当社のハードウェアをOEM/ODM提供するかたちでビジネスを進めてきました。JCSSAでは、当社のハードウェアを利用していただける販売店の開拓に加え、これから伸ばしたいと考えている入退室管理クラウドサービスの拡販に向けてアライアンスを組める企業とつながりたいと考えています。
■JCSSA:実際にJCSSAに加入してみて、どのような感想をお持ちですか。
■高瀬氏:まだ分かりませんというのが正直な感想です。加入する際はリアルイベントに期待していたのですが、コロナ禍でリアルイベントは圧倒的に減っている状況でした。このため、ほかの会員の皆さんとの交流があまりできませんでしたが、23年は3年ぶりにリアルで賀詞交歓会が開かれ、今後はリアルの方向に戻っていくとのことですので、会員間の交流がより増えることを歓迎しています。
JCSSAには、販売店に加え、メーカーも多く加入している印象があり、会員企業の幅の広さが大きな魅力だと思っています。JCSSAへの加入は、販売店の開拓とアライアンスの強化を目的としていましたが、仕入れをする時に有効なメーカーを探すという部分についても、ほかの業界団体にはない特徴だと加入後に実感しました。
■JCSSA:JCSSAに対して要望はありますか。
■高瀬氏:さきほどリアルの交流を重視していると申し上げました。それとは別に、オンラインのイベントも充実させてほしいとも思っています。当社は富山にも本社があります。東京のイベントに社員を参加させてスキルアップにつなげようとした場合、出張だとコストがかかりますし、その間、社員の業務が止まってしまいます。オンラインのイベントだと、富山にいる社員も簡単に参加できるので、地方に本社がある企業の事情も考慮していただけるとありがたいです。
■茨木氏:ほかの業界団体では、テーマごとに細かいセミナーや講習会を開催しており、当社としては積極的に活用させてもらっています。JCSSAにも、同じように会員企業向けのセミナーなどを多く企画してもらいたいです。
ほかには、JCSSAには、ほかの業界団体とは違う観点でつながれたり、アライアンスを組んだりできることを期待しています。会員の交流という意味では、役職が上の人同士でつながることはもちろん大切ですが、それだけではなく、若手に近い人たちを集めて、その中で関係性が発展するような機会があると、もっと会員企業同士のネットワークを構築しやすくなると考えています。
■JCSSA:JCSSAへの加入を検討している企業に向けてメッセージをお願いします。
■高瀬氏:今は展示会などのイベントがリアルに戻ってきました。そういった場で企業や人とつながることもできますが、JCSSAの会員になっておけば、「この人に会いたい」「こういう企業はないかな」と思ったとき、会員リストなどを活用してつながることがより容易になります。人や企業とのつながりに加え、東京の情報が手に入りやすいことも大きなメリットだと感じていますので、地方の企業にとっても、JCSSAに加入する意義は大きいでしょう。