株式会社インプリム 代表取締役社長
内田 太志 様
インタビュアー:JCSSAコミュニティ委員会委員
日本事務器株式会社 執行役員常務 国枝 直之
(訪問日:2025年5月8日)
・インタビュー動画(6分7秒)
JCSSAコミュニティ委員会がリレー形式で新規会員企業を紹介する「会員インタビュー」。第九回目は、ノーコード・ローコード開発ツール「プリザンター」を軸としたオープンソースビジネスモデルで着実な成長を続けている株式会社インプリム 代表取締役社長 内田 太志 様にお話を伺いました。
JCSSAを通じてパートナーシップの拡大や情報交換の価値を実感し、サポートサービス委員会活動などにも積極的に参加されている企業です。
JCSSA:本日はお時間をいただき、ありがとうございます。最初に、貴社の事業をご紹介いただけますでしょうか。
■内田社長(写真左):株式会社インプリムは2017年3月に2名で創業し、現在は9期目を迎え従業員は25名となっています。オープンソースのノーコード・ローコード開発ツール「プリザンター」を開発・提供しています。プリザンターは、Webブラウザで利用可能なデータベース型の業務アプリを手軽に作成できるツールです。Excelで行っていた管理業務のWebアプリ化や、ワークフローやファイルの管理、またお知らせ配信などExcelでは実現できない機能も備えており、エンジニアに依存せず短期間で業務アプリを構築できる点が特徴です。
オープンソースソフトウェアとして無償でソフトウェアとソースコードを公開しておりますが、大手の企業からの有償サポートの需要が多くなってきています。既存の高額なツールと比べて初期導入のハードルが低く、導入後、データ蓄積が進むことで保守・サポートサービスの有償契約に繋げるモデルを採用しています。初期費用がかからず、同様のビジネスモデルの競合が少ないため、自然とプリザンターのユーザーが増えていく点が強みです。そのため、営業活動は積極的に行わず、顧客からの相談をきっかけに有償サービスを提案してマネタイズしています。
■JCSSA:プリザンター開発の背景をお聞かせください。
■内田社長:富士通グループ在籍時に社内のエンジニアがExcelやメールで苦労していた現状を改善するため、現場目線でツールの開発を開始しました。もともと金銭的利益を目的とせず、企業の課題解決を重視していましたが、信用を得て安心して使ってもらうために事業化しました。
現在は120社のパートナー企業と協業しています。パートナー企業の多くは自社内ツールとして無償でプリザンターを利用し始め、その有用性から顧客への販売価値を見出してパートナーシップを希望する流れが生まれています。直販中心からパートナーチャネル経由でのサービス販売へと徐々に移行しており、JCSSA加盟企業ともパートナーシップを拡大中です。
■JCSSA:社員の技術力向上や人材育成に関する取り組みについてお聞かせください。
■内田社長:オープンソースに関心のあるエンジニアや、プリザンターのユーザーだった人が入社するケースが増加しています。ユーザーがファンとなり、プロダクトへの貢献を志望する流れを重視しています。コントリビューション精神を育むため、オープンソース関連イベントや支援活動も積極的に行っています。社員のアイディアを積極的に取り入れ、全員でプリザンターを育てていく意識を大切にしています。
■JCSSA:今後の展開についてお聞かせください。
■内田社長:創業以来9期連続で増収を達成しており、事業規模を着実に拡大しています。2024年度の年間売上高は約2億5000万円で、前年比120%〜130%のペースで右肩上がりの成長を続けています。今後は日本発のオープンソースプロダクトとして海外展開も視野に入れ、Rubyに続くような世界的に利用されるプロダクトを目指しています。
■JCSSA:JCSSAへの入会の経緯や、入会して良かったことをお聞かせください。
■内田社長:元上司である中元様(元株式会社富士通エフサス常務取締役、現株式会社ブライエ代表取締役社長)の紹介で入会しました。
JCSSAの賀詞交換会や新入会員歓迎会だけでなく、サポートサービス委員会にもメンバーとして積極的に参加し、活動を通じてその価値を再確認しました。JCSSAがきっかけで、パートナー企業が増加した実感があります。
JCSSAを通じて、イースト株式会社様などの企業とパートナーシップを締結しました。プリザンターはExcelのように業種や規模を問わず利用できる汎用性の高いプロダクトであり、多様なIT企業の皆様にご活用いただきたいと考えております。そのため、多くのIT企業が集まるJCSSAは非常に有益な団体です。
また弊社のパートナーミーティングにJCSSAの小山事務局長が登壇され、JCSSAのプレゼンテーションを実施したことで、相乗効果が生まれました。その後弊社のパートナー企業がJCSSAに入会するなど、双方向のメリットも生まれていると感じています。
JCSSAは役職や地位に関係なく、皆でメリットを作り上げていく文化があり、多くの企業が会員となっている理由の一つでもあると考えています。
■JCSSA:今後のJCSSAへの期待をお聞かせください。
■内田社長:小規模な集まりや勉強会、独自の展示会など、リアルな場の提供や、会員同士の交流機会の拡大を望んでいます。
また、会員限定のクローズなオンラインネットワークを設け、困り事の相談や情報交換が活発に行えるプラットフォームの提供も期待しています。
■JCSSA:最後にJCSSAへの加入を検討されている企業様へ、一言メッセージをお願いします。
■内田社長:現代のITビジネスでは協業が不可欠であると思います。JCSSAは規模が大きく、質の高い会員企業が協力し合う雰囲気があります。協業やネットワーク構築の場として非常に有益であるため、入会を強く推奨します。