株式会社エフアンドエム 取締役 上枝 康弘 様
インタビュアー:JCSSAコミュニティ委員会委員
株式会社BCN 週刊BCN/週刊BCN+編集長 日高 彰
(訪問日:2025年9月24日)
・インタビュー動画(6分18秒)
JCSSAコミュニティ委員会がリレー形式で新規会員企業を紹介する「会員インタビュー」。第10回目は、人事労務向けSaaSの「オフィスステーション」シリーズなど、さまざまな業務支援サービスを展開する株式会社エフアンドエムの上枝康弘取締役(写真左)にお話を伺いました。
エフアンドエム様は1990年に大阪府吹田市で設立され、現在は個人事業主の記帳を代行するアカウンティングサービス事業、中堅・中小企業のバックオフィス部門向けのコンサルティング事業、SaaSを中心としたビジネスソリューション事業を展開されています。JCSSAには、オフィスステーションの販路拡大を模索する中で2024年11月に入会いただきました。
上枝取締役は「入会してすぐにいろんな方とめぐり合う機会ができ、新たな取引につながっています。業界が持っている課題や、より良くなるためのアイデアをもっと得させていただきたい」と話し、会員各社との交流をさらに深めていきたい考えです。
■JCSSA:本日はお時間をいただきありがとうございます。上枝さんが入社されたのは1998年。エフアンドエム様の創業は1990年とのことですが、当時の事業は今とかなり異なっていたそうですね。

■上枝氏:代表を務めております森中(森中一郎代表取締役社長)が1990年に独立起業した会社でして、今とはまったく別の事業をしていました。米国でうまくいっているビジネスモデルを輸入し、金融機関のお客様のメモリアルデーにお花と一緒にメッセージを届けるフラワーギフト事業を始めました。日本では、生命保険の営業をされている方は個人事業主で、お客様にいろんなプレゼントをされていることだったので、そこをターゲットにしました。当時の社名が実は「フラワーメッセージ」で、頭文字を取ってエフアンドエム(F&M)になりました。
■JCSSA:現在の事業からは意外性のあるスタートですが、ここから保険外交員を主な顧客とするサービスが始まったと。
■上枝氏:(個人事業主の営業職の場合)皆さん確定申告をしないといけないのですが、当時は特に女性の営業職の方は、家に帰ると子育てや家事ですごくお忙しい。でも税理士さんにお願いすると、年間何十万円かかってしまいます。そこで、月に数千円だったら払っていただけるということで、その価格帯で記帳代行を始めました。手計算から始まりましたが、その事業を始めてから2年目くらいには、効率化するためのシステムをスクラッチで開発し始めました。1千人、1万人の処理をするための会計ソフトがなく、業種も特殊なので、これはもう自社で内製しようということで、社内で開発部門を作ったんです。
■JCSSA:最初は外販ではなく、自社サービスのためにソフトウェア開発を始められたのですね。中小企業の経営者や総務部門向けのコンサルティングサービスも展開されています。
■上枝氏:これは、保険会社の皆様にお困りになっていることを聞いて回ったところ、なかなか法人保険が売れないというお話がありました。そこで、(企業にとって)保険料の“財源”になるようなお話、例えば助成金制度などの情報を保険と一緒に中小企業の経営者にお届けしたところ、喜ばれまして。退職金の準備とか決算対策にも保険が売れるようになりました。(当時は今と違って)このような情報が全然行き渡っていなかったので、「こういう情報をちゃんと教えてもらいたい。月々お金を払ってもいい」とご相談いただくようになり、月々の会費の中でいろいろなサービスが使える会員組織に発展し、現在は月額3万円のバックオフィスコンサルティングサービス「エフアンドエムクラブ」として運営しています。
※ 月額費用には、社会保険労務士事務所が提供する就業規則などの作成および変更管理サービスの利用料金2,000円が含まれています。
■JCSSA:その後、人事労務クラウド「オフィスステーション」シリーズを立ち上げ、ソリューション事業を拡大されています。

■上枝氏:エフアンドエムクラブから派生して、社会保険労務士(社労士)の方々との連携事業を始めることになりました。ただ、税理士さん向けには会計システムが多数ある一方、社労士さん向けの業務システムはまだそれほど充実しておらず、社労士さんから「業務効率化のノウハウも含めてシステムを作ってほしい」という声をいただいて立ち上げたのがオフィスステーションでした。ところが、リリースしてみると思いのほか、社労士さんだけでなく一般企業からも問い合わせを受けるようになりました。しかも、かなりの大手企業からでした。
■JCSSA:当時は大企業の方々も、労務関連の業務を効率化できるソリューションを探されていたのですね。
■上枝氏:ラッキーだったのは、世の中の仕組みが大きく変わる転換期にたまたま立ち会えたことです。それまでファイルアップロードでしか連携できなかった政府の「e-Gov電子申請」が、外部システムから直接Web APIで申請できるようになりました。そこからどんどん法律が変わり、年末調整にハンコがなくてもいいとなったり、労働条件通知を紙から電子にしていいと変わったり。私たちがその制度変更に対応したオフィスステーションを作ったので、大手のお客様も「オフィスステーションを人事給与基幹システムに連携したほうが早いじゃないか」となりました。
■JCSSA:そこから、JCSSAに関心を持たれたきっかけは。
■上枝氏:記帳代行は保険会社に所属されている方々に向けたサービスでしたし、中小企業向けサービスは地方銀行や信用金庫からのご紹介いただくお客様が大半で、従業員規模が50名以下のお客様、そこに向けた販路がほとんどでした。オフィスステーションは人事労務のクラウドサービスで、企業規模が大きくなればなるほどニーズがありますので、そこに向けてどうやって営業すればいいかわからない状態からのスタートでした。そこで、そのようなお客様とお取引のある販売店様との関係を直接作りたいと考えたのが、JCSSAに興味を持った理由です。
■JCSSA:2024年11月にJCSSAに参加いただきました。どんな手応えを感じられていますか。
■上枝氏:入会後すぐに2025年1月の賀詞交歓会がありましたが、もう本当にすごい規模でびっくりしましたし、ご挨拶をさせていただいたときに、皆様がとてもフレンドリーに、仲間の一人としてお話しいただいたのが印象的でした。次のお話にも必ず結びついており、本当にありがたいと思っています。新会員歓迎のイベントなどにも参加させていただき、入会してすぐにいろんな方とめぐり合う機会ができていて、そこはメリットとしてすごく感じられています。
■JCSSA:入会初年度から、JCSSAの活動へ非常に積極的に参画いただいています。
■上枝氏:7月の「真夏の大商談会」(一般社団法人ソフトウェア協会との共催)や、9月の「DISわぁるど in 山形」(ダイワボウ情報システム株式会社主催)のJCSSAブースへ出展のお話をいただき、喜んで参加をさせていただきました。その場で販売店様にお話を聞いていただき、新たなお取引につながっています。JCSSAがなければ出展できなかったイベントですので、本当に感謝しています。

■JCSSA:JCSSAに期待することや、今後活動していきたいと考えていることを教えてください。
■上枝氏:当社のこれまでの事業を振り返ると、お客様がどういうことを求めているか、どういうことでお困りかを知ることが、支持される会社になれるかどうかを決める気がしています。JCSSAを通じて、さまざまな販売店様の生の声を聞き、業界が持っている課題や、より良くなるためのアイデアをもっと得させていただいて、皆様の気持ちがわかるソリューションベンダーになりたいと思っています。
■JCSSA:エフアンドエム様のようなソリューションベンダーで、JCSSAへの参加を検討されている企業に向けて、メッセージをいただけますでしょうか。
■上枝氏:もし、もうJCSSAに興味を持たれているのであれば、必ず入会した方がいいと思いますね。当社の場合は、いろいろな会社様とのお付き合い、つながりを広げたいという目的を持っていましたが、それは100%以上かなえられました。目的を持って参加すれば、それはきっと叶う会なんじゃないかなと。JCSSA理事の方は、「みんなで成功しよう」「みんなで発展していきましょう」ということをいつもおっしゃっていますが、本当にそれを実践している会だなと思います。